寺田's 学びを成長につなぐフォーカス発想のススメ

勝間本「目立つ力」のスゴサの秘密 このエントリーを含むはてなブックマーク 

 私の尊敬する勝間和代氏の新著『目立つ力』を読みました。
 
 相変わらず非常に主張が明快で、【勝間氏らしい】中身の濃い本に仕上がっています。
 
 ただ、勝間氏の本は意地悪なトラップが仕掛けられていることも多く、読み手の力量が試されます。(笑)
 
 今回の本も読者を試すようなトラップが仕掛けられており、この本を素直に読んでしまうと罠にはまってしまいます。勝間氏が日頃、どのような主張をしているか、どういうポジションにいるのかを理解しておかなければいけません。
 
 
 
 この本の最大のトラップは、構成上「ウェブ初心者向け」の体裁をとりながら、その実、書かれている内容は「勝間氏、小飼氏ら、すでにアルファブロガーであるか、それになりうるレベルの人向け」になっていることです。
 
 初心者がこの本に書かれていることを素直に読み、実行しようとしてしまうと、途方に暮れるでしょう。
 
 そして、途方に暮れた後に勝間氏や小飼氏らの支持者(読者 or フォロワー)に組み込まれていくという、著者にとって「1粒で2度おいしい」結果が待っています。
 
 その意味で、よくも悪くも「勝間氏本人が目立ってきた方法論」であり「勝間氏本人が、ますます目立つようになる本」になっています。
 
 
 
 いや、これは少々意地悪な言い方かも知れません。
 
 勝間氏は常々、カツマーと呼ばれる人たちを啓蒙し、知的レベルを引き上げよう、社会を良くしようと奮闘しています。
 
 この本は、その観点から言うと、筋の通った勝間流社会啓蒙活動の書だと言えるでしょう。
 
 そこで発せられるメッセージとは「成長できる人は、この本で飛躍しなさい、そうでない人は、そうなれる日まで、私のツイッタをフォローしていなさい」というものです。
 
 このメッセージはどこか宗教チックであり、それが評価されるのは「勝間氏のメッセージが社会正義の観点から是とされる」ことが担保されている限りにおいて、です。
 
 同じく小飼氏が勝間氏を絶賛する姿勢が「ヨイショ」に見られるか「意義のある正当な評価」と見られるかも、同じ部分に依拠しています。(まぁ、小飼氏の勝間本絶賛の姿勢は過剰評価だと思いますが。)
 
 
 
 ただ、読み手は勝間氏の「社会正義の観点からの評価」を冷静にとらえず、勝間氏の「スタンス」だけを見て反発してしまうことがあります。
 
※残念ながら、勝間氏の「価値観の軸」が本当にどこにあるのかは現段階では分かりません。政治家にでもなってくれると明確になるのですが!
 
 このあたりが、アマゾンの評価にも出てきていますよね。(^^;
 
 「☆5つ」の付き方の不自然さがとっても勝間氏らしくて素敵です。勝間氏の「スタンス」に反発する人が☆1つを付け、それに危機感を抱いたカツマー諸氏が反撃に出たというところでしょう。
 
※アンチの方からのツッコミが激しくて、これもまた素敵です。(笑)

2009年10月5日の9時30〜9時40分にかけて連続でこの評価5のレビューが3件入ったことに加え、
2009年10月7日12時20分〜12時44分にかけて連続でこの評価5のレビューが6件もアップされている!!
そして、その間に「参考になった」という票が13も入った。

コピー元:http://www.amazon.co.jp/review/R2RPKCLDTDYJA7/ref=cm_cr_pr_cmt?ASIN=4098250497&nodeID=#wasThisHelpful
 
 
 
 なにしろ、心して読まないとヤバイ本であることは確かです。
 
 この本には「何が書かれ」ていて、「何が書かれていない」のか確認したいところです。
 
 
 
 まず、この本の中心的主張は「みんな、ツイッタ、ブログを始めよう!」というものです。
 
 帯には「人生のモビルスーツを手に入れてください」と書かれています。
 
 これが、「誰でもモビルスーツを手に入れられる」というメッセージなのか「シャア専用に乗れるのはシャアだけだし、ガンダムに乗れるのはアムロだけ。つまり選ばれた人だけが手に入るのよ。みなさんはとりあえず私の木馬にお乗りなさい。」というメッセージなのかは不明です。
 
 本文には、人に役に立つ情報、誰も知らない情報などをしっかり盛り込み、コンテンツ力を上げること、そして読みやすい、読んでもらえやすい編集作業をしっかりやることが重要だと語られています。
 
 そして、それができれば「誰でも人気ブログが作れます」と。(以上、P.168を中心とした第3章より)
 
 しかし、ここからがトラップです。
 
 前書きで、勝間氏自身は、その圧倒的な情報力と行動力、技術力による先駆者利得によって「ウォール・ストリート・ジャーナル」で表彰されたことを明かしています。それを活かしてくれたのがブログだった、と。
 
 実は日経アソシエでは、“私は人脈があるから世界中の、最先端の情報を手に入れられる”、“読者のみなさんには不可能”ということを語っていました。(いつのアソシエだったか不明。言葉は寺田の意訳。ちなみに、読者を卑下した内容ではなく「それでも手に入れられる範囲の情報で正しい思考を目指そう」という主張だったと記憶しています。)
 
 つまり、勝間氏は「ブログ記事を書けない人はいない」(P.44)と書いてはいますが、その実、注目される記事を書ける人は、ほとんどいないことを暗にほのめかしているわけです。
 
 
 
 そして、誰もが発信者になれるかのように書かれていますが、その発信力がいかに偏ったものであるか、その結果、いかにひどい情報格差が生じるかを著書『効率が一〇倍アップする新・知的生産術』の中で「情報主義」という独自の言葉で語っていましたよね。
 
 曰く「資本主義の本質は、「賢くない人から賢い人へお金が移動する仕組み」ということです。ここで、賢さというのは価値のある情報の有無と置き換えることも出来るでしょう。」というわけです。
 
※これって「グーグル・アマゾン化する社会」ってヤツですね!
 
 実際、今日(10/14 11:53a.m)現在のツイッタの勝間氏のフォロー・被フォローの数は、なんと569(フォローしている):98,309(フォローされている)という状態です。(このツイッタの話も前書きに書かれています。)
 
※勝間氏のツイッタ >>http://twitter.com/kazuyo_k
 
 おそらく、この本を読んでツイッタ・ブログに参入してくる人の数を考えれば、この落差はさらに広がるはずです。そして、おそらくそれは勝間氏が意図した結果でしょう。
 
 
 
 これが何を意味するのか?
 
 勝間氏の、この本の中に批判されるべき間違った主張はどこにもありません。断言します。
 
 ただ、省略された言葉やステップが多いだけです。
 
 それはヒトコトでいうなら、「スゴイ人だけが活用できるノウハウを「今のあなた」が活用できるようになるためには、どのような階段があるのか?」ということです。
 
 つまり、この本で書かれている「目立つ」ことも「出版」することも、「単に、まだ目立っていないだけであって実力がある人」が「世間に知ってもらうべきメディアとしてブログを書いた」だけです。
 
 無名だけど有実な人は、この本の方法を採用することで、確かにチャンスをつかめるでしょう。
 
 ですが、まだ発展途上で修行期間にいる人がブログを書いて、たまたま目立ったところで有名無実、張り子の虎でしかありません。本当の意味で目立てるわけではないはずですね。
 
 「仕事上、まだ見習い期間的なポジションにいる人」がどういうスタンスで記事を書くべきか?
 
 文章力、論理力がない人は、ブログを書く前にすべきことがあるのではないか?
 
 そういう視点が必要です。それは発信者ではなく、修行者としての視点です。(つまり、私のような人)
 
 
 
 当たり前ですが、前にも書いたように、そこからすべてを書いて行くと500ページぐらいの本になってしまいます。そんな本は出版できません。勝間氏が書きたかった主張にフォーカスして書いたのが本書なのです。
 
 その「有実なあなた」になるまでのステップは「自分で考えなさい」ということであって、おそらく「それまでは、私のツイッタをフォローしながら修行しなさい」ということでしょう。(勘ぐりすぎ?)
 
 
 
 えらく長くなりましたが、この『目立つ力』を読んだ私の率直な感想です。賛同しているんだか、批判してるんだかよく分からない文章ですな。(笑)
※本音を言えば、単に「ツッコミを入れたかった」だけです。はい。
●●

勝間 和代
小学館
2009-10-01
おすすめ平均:
「目立っている」のは勝間さん、あなたです
紙媒体でモノを書いている人に読んで欲しい本
ブログで、勝つマニュアル。初心者にはきっと効く
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投稿者 てら : 2009年10月14日 12:04 

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