寺田's 学びを成長につなぐフォーカス発想のススメ

【書感】情報化社会に必須の力を身につける このエントリーを含むはてなブックマーク 

 前から、ちょっとツッコミを入れたいと思っていた本がありました。
 
 細野真宏氏の数学的思考力を鍛える本。
 
 率直に言って、驚くほどにわかりやすいです。世の中を数学的に見る、ロジカルに考えるっていうのは、こんなにもシンプルなものだったんだと、誰もがびっくりするはずです。
 
 最新作は、誰もが疑問と不安を持っている年金問題を1つのネタとして、周囲の雑音に左右されず、純粋に理論的に突き詰めていくと、驚くような真実が見えてくるという話になっています。
 
『「未納が増えると年金が破綻する」って誰が言った?』
 
 
 
 たとえば「未納が40%を超える」というと、一見、恐ろしい状態になっているように見えますが、実は全体の年金システムから見ると5%に過ぎず、また「未納」者は「将来、年金をもらえない人」でもあるので、プラスマイナスゼロだから未納者が増えても問題ない、という説明。
 
 いや、むしろ新しいシステムでは年金未納者こそが被害者になってしまいますよ、という警告まで!
 
 ちょっと驚きませんか?
 
 未納者がどれだけ増えても、日本の年金システムは崩壊しないんですよ!!
 
 
 
 でも、ツッコミを入れたくなるんです。(笑)
 
 
 
 実は、著者の細野氏は「私は新聞も雑誌も読まない」と豪語します。曰く、論理力があるから少ない情報で正しい結論が得られるのだ、と。
 
 まぁ、これについても特に異論を差し挟むつもりはありません。多読を誇る請け売り大好き人間よりも、自分の頭で考える力を持った人の方が信頼できます。
 
 が、「まったく読まない」のと「適切な情報を手に入れる」のとでは雲泥の差が出ます。
 
 実際、前作はあまりにも、物理学でありがちな「摩擦は考えない」とか「物体に体積がないと仮定する」というような現実から乖離したテイストが感じられました。
 
 理論をわかりやすくするための人為的、社会的要因の排除、表に見えにくい大人の事情などが、キレイになかったことにされてしまっていたわけです。たとえば前作の牛肉輸入の問題、ハゲタカファンドの話など、当時の新聞報道や雑誌の報道を読んで知っていれば分かるはずのことがキレイに抜け落ちています。
 
 そういう意味で、論理力だけでどのくらい真実に迫れるかという、その価値と限界の両方を体現したような本になっていました。
 
 
 
 しかし、今回の作品は、論理と情報が絶妙なバランスになっています。
 
 年金問題については、氏が「社会保障国民会議」の委員に選定されて、その世界の第一人者の意見や情報に触れることができたことが大きな理由だと考えられます。
 
#年金の章以外は、今回の本もやはりツッコミどころが結構見られます。論理の世界には「大人の事情」とか「社会の裏の構造」とか「シンクロニシティ」というものはあり得ないようです。(笑)
 
#と言いながら、実は年金の章にもツッコミどころは存在します。例えば上に書いた年金保険料を払わない方が損だという考え方ですね。実際には無年金老人にも年金よりも額が多い(地域によるようですが)生活保護費が支給されますので、やっぱり年金保険料は払わない方が損とは言い切れないはずです。
 
#また、論理力の欠如による問題と、「言葉の不正確な使用」による問題とがごっちゃにして語られている箇所もあります。さらに、数学と違い社会科学の世界では同じ証拠、同じ論理を使っても、当てる光の角度によって結論が正反対にもなり得ること(だからディベートが可能なんですね)も無視されているように感じます。
 
#そう↑感じていること自体、私の論理的思考力が低いせいかも知れませんが。(爆)
 
 
 
 情報化の時代になって、情報ばかりを求める人が増えているのは確か。しかも、深く考えない請け売りコピペが世の中に氾濫しています。自分の頭で思考することを忘れ、浅い反応レベルでものを言う人が増えているように感じます。
 
 反応レベルで判断するから、情報に煽られるし、自分の中に矛盾する判断が混在していても気がつかない。
 
 そして、そういう反応を繰り返すだけだから、いくらブログを書いても発信するレベルが向上しない。
 
 
 
 情報化社会をサバイバルする上で、数多くの情報、矛盾する情報を適切に判断する力を養うことがまずは基本です。そういう意味でも、この本は本当に多くの人に読んで欲しい本です。
 
 ですが、そこで養った力を活用して、この本に書かれていることは「1つのサンプル」でしかなく、そこから先に問題探求を進めていかなければいけないということを忘れたくないところ。
 
 この本は、ある意味で読むための本ではありません。
 
 手に入れた論理力、数学的思考力を通して世の中を見る練習をするための本。その手本として、頻繁に立ち返るべき基本書です。
 
 そういう練習を1日1回やってみましょう。1ヶ月もしないうちに、間違いなく、世の中を見る目が変わります!
 
 逆にそういうトレーニングをしなければ、結局、この本に書かれていないことは分からないということになります。
 
 それって、雑誌を読んで真に受けている人と五十歩百歩ですよね。信じている相手が信頼できる人(=細野氏)か否(=煽りたがるメディア)かという違いしかありませんからね。
 
☆こちらも超おすすめ!『細野真宏の数学嫌いでも「数学的思考力」が飛躍的に身に付く本!
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投稿者 てら : 2009年03月10日 22:22 

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