寺田's 学びを成長につなぐフォーカス発想のススメ

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 付箋を上手に使いこなすことで「書籍」という外部データベースへのアクセシビリティが高まります。
 
 しかし、悲しいもので、欲しい情報にアクセスしたところで、そこに並んでいるのは所詮「他人の言葉」なのです。
 
 読んでいるときは、確かに何かを感じて付箋を貼るわけですが、その感覚というのはまさに一期一会。次のページをめくった瞬間には忘却の彼方に消し飛んでいます。
 
 まして、時を経て付箋を頼りに開いてみたところで、そこには他人事の言葉が並んでいるに過ぎません。
 
 
 
 その一期一会の出会いを、長いつきあい、確かな果実につなぐため、あと一作業したいところです。
 
 それが、線を引くという主体的な働きかけ。
 
 「この言葉と出会ってよかった!」という刹那的、揮発性の感覚を、「なぜよかったのか?」「どうよかったのか?」「どう役に立てようと思うのか?」という明晰な意識による思索に高める作業です。
 
 これが主体的であるためには、漫然と線を引いてはいけません。それでは付箋を貼るのと50歩49歩。
 
 そうではなく、齋藤孝先生流の「3色ボールペン」でなければなりません。3色ボールペンは目印を付けるためのツールではなく「意識の明確化ツール」なのです。
 
 
 
 ただ、この明晰な意識で線を引き分けるというのは、実は齋藤孝先生の発明ではなく、齋藤先生の東大の大先輩である新渡戸稲造(旧5千円札の肖像で有名)の教えなんですね。
 
 新渡戸氏に教えを受けた、同じく東大の大先輩、大内兵衛氏がこう述懐していらっしゃいます。(大先輩ってのは齋藤先生にとって、です。私は東大卒ではありませんので。。。)
 

 私は新渡戸稲造先生にも、その演習に参加して読書の方法を教わった。
(中略)
 本をよむときは必ず青・赤の鉛筆をもて。そしてアンダーラインとサイドラインを本にできるだけきれいに引け。
そのラインが何を意味するかは自分できめよ。
例えば、青は文章の妙、赤は論旨の重要、サイドラインの長いのは再読を要するところ、短いのは他日必要ができたら引用する価値あるところという風に。

(岩波新書「私の読書法」より)
 
 後で振り返ったとき、自分がその刹那の出会いで何を感じ、それをどう活かそうと思ったのかを、明確に足跡として残せというわけです。
 
 いや、主体的に文章と向かい合えという「姿勢」を教えていらっしゃるといった方がいいでしょうか。
 
 
 
 今は書籍の余白も多く取られる傾向がありますので、線を引き、思ったこと、やろうと思ったことを書き込むことも可能です。
 
 そうすることによって、後日、付箋を頼りに戻ってきた場合でも、思考の履歴をたどることができるわけです。
 
 ここで初めて、書籍が自分の頭と結びついた、本当の意味での外部データベースとなります。
 
 
 
 ちなみに、齋藤孝先生は3色は「主観」と「客観」で分けて考えるべき、中心は「客観」であるべきと主張なさっています。
 
 その一方で、80対20の法則を読書に適用すべきとの主張では、自分が読みたいと感じたところだけを、拾って読めばいいともおっしゃってます。
 
 つまり、基本は「自分の目指す方向性にとって、どういう価値があるか」という主観なんですね。主観で選んだ情報を、冷静に精査せよということでしょうか。
 
 
 
 新渡戸氏は、最初から「自分で価値を決めろ」というスタンスです(線を引く基準を自分で決めるのであって、それが主観的にオモシロイ場所とか興味のある場所に引くものとまではおっしゃってませんが)。
 
 本田直之氏の『レバレッジリーディング』、私の『フォーカス・リーディング』は、さらに飛躍して完全な主観を主張しています。
 
 自分で価値を決める場合、漫然と線を引いてはトレーサビリティを下げる危険性があります。特に、重要だから赤、まぁまぁ重要だから青という、重要度による引き分けは時間の経過で基準が曖昧になります。
 
 ですから、新渡戸氏の主張するように明確に位置づけを言語化しておくことが必要でしょう。
 
 
 
 ちなみに、私の場合、
 
赤:重要と感じた主張・意見(アサーション・レッド)
青:重要と感じたデータ・理論(セオリー・ブルー)
緑:気になった表現、消化不良の表現(エクスプレッション・グリーン)
 
といったところでしょうか。(緑のうち「消化不良」の部分には、黄色の付箋を貼って、後で必ず確認しなおします。)
 
 
 
 線の引き方、付箋の貼り方は様々でいいわけなんですが、大切なことは「その本を、読んだ後にどう活かすか?」という発想を常に忘れないこと、「活かすために、今、何をしておくべきか?」をあらかじめ考えておくこと、が重要ですね。
●●

投稿者 てら : 2009年09月02日 11:03 

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